「北海道交通事故被害者の会」 の概要
  悲惨な交通事犯で最愛の家族を失った遺族や、
体や心に深い傷を負わされた北海道の被害者でつくる会です。

道警交通部発刊の小冊子「癒されぬ輪禍」(1999年初版)の手記募集に応じた者の中から
道警の呼びかけで、発起人会が結成され、
被害者どうしの相互支援と交流、
犠牲を無にせず交通死傷被害絶滅をめざす活動

という二つを目的に、1999年9月発足

以来道警および(一財)北海道交通安全協会の支援を受けながら活動しています

現在の会員数は119家族(112事例)で、およそ7割が被害者遺族、
3割が怪我をされた方やその家族です。

私たちの願いと活動

交通犯罪は、生きる権利を一方的に奪う重大犯罪です。
肉親の死や自身の被害、理不尽な仕打ちを受けた被害者等が、
孤立し無力感に陥っていては尊い犠牲は報われません。
私たちは、被害者同士が支え合うことで、その叫びを大きく強くし、
交通犯罪や事故が軽く扱われる不条理を正し
命の尊厳が護られる社会、交通犯罪被害のない社会をめざし、
活動を続けます。

ご理解とご協力をお願い致します。


〒060-0001 札幌市北区北30条西6丁目 4-18 
北海道交通安全協会内
Tel.011-299-9025 Fax. 011-299-9026
  http://hk-higaisha.a.la9.jp/

〈活動内容〉

(1)支援・交流

月1回の世話人会(例会)で、自助グループとしての支援、交流を行う。
裁判について自主的に傍聴支援。
医師や弁護士を講師にしての学習会なども実施。
会報は年3回発行。
 写真は、2015年5月の総会・交流会

(2)事故防止活動

被害の悲惨さ、かけがえのない命の大切さを訴えるため体験講話の要請に応えている。2011年より道警の事業「命の大切さを学ぶ教室」との連携もあり、中学・高校での回数が増えた。各種集会や少年院や免許停止処分者への講話も含め、2014年度は82回、受講者は1万5千人以上。2000年からの累計は807回、受講者数は16万人を超えた。(2015年3月)
また、北海道共同募金会の協力も得て、命のパネル展実行委員会が「いのちのパネル」と小冊子を作成。公共施設等で展示を行い、被害の実相と命の重さを訴えている。2014年度は23会場、延べ140日間展示。2003年からの累計では242会場、延べ1132日間の展示。

写真は、札幌駅地下歩行空間 での「いのちのパネル展」(2014年11月)

(3)フォーラム・交通事故:

被害者の視点から、被害者の権利回復および交通死傷被害ゼロを訴える「フォーラム・交通事故」を毎年開催し、関係機関や市民の方との連携を深めている。2009年からは、11月第3日曜日の「世界道路交通犠牲者の日」に連帯し、道や札幌市、そして民間団体の後援や協力を受け、「交通死傷ゼロへの提言・北海道フォーラム」として開催している。
これまでのテーマ一覧

写真は2014年のフォーラム
「ゼロへの課題と被害者の人権」と題して講演する島田尚武氏


(4)要請活動被害者の願いを26項目の「交通犯罪被害者の尊厳と権利、交通犯罪・事故撲滅のための要望事項」としてまとめ、内閣府や警察庁など関係機関に毎年提出。対道要請も行っています。



「北海道交通事故被害者の会」の設立にあたって 
 
  私たちは悲惨な交通事故により、最愛の子や配偶者、親などかけがえのない家族を失ったり、あるいは体や心に深い傷を負わされ、筆舌に尽し難い苦しみの中で生きています。
 一日たりとも忘れることなどできない日々の中で、私たち遺族や被害者がいっそう辛い思いにされるのが、絶えることのない同様の交通事故報道です。
 私たちが道警交通部の手記募集に応じ痛切な胸のうちを吐露したのは、「再び悲劇を繰り返して欲しくない。尊い犠牲が報われるように事故の教訓を生かして欲しい」との共通の思いがあったからです。

 手記集には、肉親を失ったり傷つけられたりした悲しみとともに、その後の捜査や裁判の中で受けた不条理についての指摘が多くされています。
 事故の真相が知らされず、加害者は当然起訴されるものと確信していたのが、不起訴と聞いて愕然としたという例や、裁判においても被害遺族の疑問や主張を取り上げてもらえず、加害者の人権ばかりが尊重されたかのようなあまりに軽すぎる刑の例などです。 等しく与えられたはずの生存の権利を一方的に奪う最大の人権侵害としての交通犯罪がこのように軽く扱われ、果たして事故は減るのでしょうか。「故意ではなく事故なのだから仕方がない」という風潮を助長しないでしょうか。
 私たちはかけがえのない肉親を突然失った悲嘆に加え、こうした理不尽さに年月が経っても決して癒されることのない悲しみに陥ります。

 ある被害者の方は「50年経った今も亡くした子を想う」と綴っていますが、私たち遺族や被害者は、「なぜこんな目に」という思いから、その日以来、心の底から笑うことはないのです。周りを気遣い、その振りをすることがあっても、次の瞬間には無念さを思いふさぎこんでしまいます。楽しかったそれまでの思い出は悔しい過去に変わり、人と接するのが辛くなって外出が減ったり、趣味を捨てたりと、私たちの生活は一変しているのです。

 しかし被害者が、このまま孤立し無力感に陥っているばかりでは、尊い犠牲は報われません。
 私たちは、被害者同士支え合うことで、一人ではかき消されてしまう悲痛な叫びを大きく強くして、これ以上犠牲者を出さないための活動を模索したいと、手記に応募した者の中から発起人会をもち、「北海道交通事故被害者の会」の設立準備に当たってきました。

 私たちは、悲惨な交通事故の再発防止と被害者救済を目的にこの会の活動を始めていきたいと思います。
 そのために何ができるのか、まだ未知数ですが、事故の悲惨さを誰よりも知る私たちでなければ出来得ないことがあると思います。関係各機関および直接ハンドルを握るドライバーは、クルマがとりわけ歩行者や自転車通行者にとって容易に凶器ともなる危険なものであるという認識をして、事故の未然防止に当たって欲しいと思います。私たちの求める被害者救済も事故の再発防止に直結しなければ意味を持ちません。
 命をあがなうことは決して出来ないことだからです。
                             1999年9月17日 設立発起人会